「命がけの予防接種」 by ロバート・ケネディー・ジュニア

(出所:2005年6月20日の米「ローリング・ストーン」誌掲載記事を日本ホメオパシー医学協会にて翻訳)


目次

ロバート・ケネディ・ジュニアが政府による水銀/自閉症スキャンダルの隠蔽を暴く

2000年6月、政府の科学者および医療関係者の一団が、人里離れたジョージア州ノークロスのシンプソンウッド保養・会議センターに集まった。会議は疾病対策センターによって開催され、完全な機密保持のため、チャッタフーチー川近くの森林に囲まれた農地の中に位置するメソジスト・リトリートセンターで行われた。会議は公式な告知はされず、52人の参加者が個人的に招待された。出席者には疾病対策センターの幹部職員、食品医薬品局、世界保健機構のワクチン専門の権威など、関係官庁の最重要人物をはじめ、グラクソ・スミスクライン社、メルク社、ワイス社、アベンティス・パスツール社などが含まれていた。疾病対策センターは、会議中の科学的データは全て持ち出し禁止とし、書類のコピーも禁止、配布書類も持ち出さないよう念を押した。

政府の官僚と業界の代表者は、幼児と子供に接種されるワクチンの安全性を警告する新しい研究について話し合うべく会合していた。10万人の子供たちの記録が含まれた大量のデータを分析した、疾病対策センターの免疫学者トム・ヴェルシュトレーテン博士によると、チメロサールという、水銀から作られたワクチンの保存剤が子供の自閉症やその他の神経系統の障害に大きな影響があると明らかにした。「私は自分の見たものに衝撃を受けました。」ヴェルシュトレーテン博士は、シンプソンウッドに集まった参加者達に、チメロサールと言語の発達の遅れ、注意力散漫、多動、自閉症との関係を示唆するこれまでの研究を発表した。1991年より、疾病予防対策センターと食品医薬品局はその保存剤を添加したワクチンを新たに三種類、生後間もない子供に接種するよう義務付けた。それ以来、自閉症の症例は15倍になり、2500人に一人の割合から166人に一人の割合で発生するようになった。

生死の問題に常に直面している科学者と医者にとってさえ、この発見は驚異的であった。「皆さんはこれをいかようにもできる。」と米国小児科アカデミーのビル・ウェイル博士は参加者達に言った。結果は「統計学的に重大なものである。」この会議に出席したコロラド大学の免疫学者であり小児科医のリチャード・ジョンソン博士は、会議の初日の早朝に生まれた孫がいたため、さらなる驚きを受けた。「本音を言うと、私事で恐縮だが、孫にはチメロサール入りのワクチンは真実が明らかになるまでは受けさせたくない。」

ところが、即座にチメロサールの添加を中止し、公衆に注意を呼びかける代わりに、続く2日間の大半はこの不利なデータをどのように隠蔽するかについての討論に費やされた。情報公開法によって明らかにされた記録によると、この会議の参加者の大半が、チメロサールの被害が明らかになることでワクチン業界に与える影響を懸念していたという。デラウェアの小児病院の医師ロバート・ブレントは「この情報は、余念の無い原告弁護団のとっておきの手となる。=我々は法廷では不利な立場になる。」と発言した。疾病対策センターのボブ・チェン博士は「この情報のもたらす影響を考えて、例えば、あまり責任の無い立場の者の手に情報が漏れないようにしてきた」と言った。世界保健機構の予防接種アドバイザーのジョン・クレメンツ博士は「調査結果はこのままにしておくわけにはいかない。」と忠告した。この研究は「誰かがそれを入手し、我々の思惑を超えた使い方をするかもしれない。」

事実、政府は子供達の健康を守るより、損害の対処に精通していた。疾病対策センターは全米科学アカデミー研究所に資金を提供してチメロサールの危険性をごまかす研究を依頼し、研究者達にチメロサールと自閉症の関連性を除外するよう要請した。ヴェルシュトレーテン博士の調査結果は保留され、本来なら直ちに発表される予定だったが、他の研究者達には元データは紛失され、再生できなくなったと説明していた。情報公開法を阻止するために、膨大なデータは企業に保管され、研究者達から隔離された。2003年、ヴェルシュトレーテン博士はようやく新しい研究結果を発表したが、彼はすでにグラクソ・スミスクライン社に勤務しており、それまでのデータ見直され、チメロサールと自閉症との関係性は闇に葬られた。

ワクチン製造会社はチメロサールをアメリカで幼児に接種することを徐々に廃止し始めたが、水銀入りのワクチン製品は昨年まで販売を続けていた。疾病対策センターと食品医薬品局は汚染されたワクチンを買い上げて発展途上国に輸出し、製薬会社には8歳の子供に定期的に行われる小児風邪や破傷風の注射への使用を許可した。

製薬会社はワシントンの強力な立法者達の援助を受けた。上院多数党院内総務を務めるビル・フリストは製薬会社から87万3000ドルの献金を受けており、予防接種を受けた子供の親達が起こした4200の訴訟で、製薬会社の責任を不問にするよう働きかけた。フリストはシンプソンウッド会議の資料を含む、政府のワクチン関係の書類を隠蔽し、チメロサールの開発者、イーライリリー社を召喚令状から守った。2002年、フリストが”イーライリリー保護法”として知られる付帯条項を国土安全法案にひそかに忍び込ませた翌日、この製薬会社は彼の活動に1万ドルを献金し、彼の書いたバイオテロリズムの本を5000部買い取った。2003年、議会でその法案は撤廃されたが、その頃にはすでにフリストは別の付加条項をテロ防止案に挿入していた。ワクチンの副作用による脳障害に苦しむ子供の家族に対する補償を否定する内容だ。フリストの保健政策顧問、ディーン・ローゼンは「訴訟はワクチン・メーカーを廃業に追い込みかねない。そうなればテロリストによる生物兵器を利用したテロ行為に対する能力が制限されてしまう。」と発言している。

保守派さえ政府がチメロサールの危険性を隠そうとする工作には衝撃を受けている。インディアナ州の共和党員ダン・バートンは、孫が自閉症と診断されてから3年間、チメロサールの調査を監視してきた。「ワクチンの保存剤として使われているチメロサールは自閉症と直接の関連がある」と下院政府改革委員会は最終報告書で結論づけた。「かなりの確立でこの伝染病は防ぐことができたか、縮小することができたかもしれない。食品医薬品局が、職務を怠らず、神経毒として知られるチメロサールの接種に関する安全性のデータが不足していることに気付いていれば。」食品医薬品局と他の公衆健康機関が「自己保身のための組織的な不正行為」と「製薬産業への間違った保護主義」のせいで失敗したと委員会は付け加えた。

いかに政府の保険機関が巨大製薬会社と共謀してチメロサールの危険性を市民から隠しているかという話は、体制の傲慢さ、権力と欲望を示す恐ろしい例である。私はこの論争に無理やり引き込まれた。弁護人および環境活動家として水銀の毒性の問題に数年間取り組んでいる者として、ワクチンを打ったせいで子供が自閉症になったと確信している母親達に会う機会が多いが、個人的には疑いを持っていた。

私は自閉症はひとつの要因だけでなるという点は疑問に思っていたし、政府が親に対しワクチンは安全だとすすめることも理解していた。致命的な子供の病気の根絶はワクチンに負うところが多い。私はカリフォルニア州の民主党員のヘンリー・ワックスマンのような懐疑論者を支持していた。「なぜ我々は真実を知る前に免疫のことで人々を怖がらせなければならないのだ。」

シンプソンウッドの写しを読み、主な科学的調査を研究し、国内の多くの著名な水銀の権威者と話しをした後、初めて私はチメロサールと子供の神経的障害の関連性が事実であると確信した。私の5人の子供は1989年から2003年に生まれたチメロサール世代であり、ワクチンから大量の水銀を摂取している。「小学校では神経や免疫系にダメージのある子供達の多さに驚かされます」1999年の下院政府改革委員会で学校保健婦のパティ・ホワイトは述べている。「ワクチンは私達をより健康になるとされていますが、25年間保健婦をしてきて、このように多くの障害や病気の子供達を見たことはありません。何か非常に悪い事態が子供達に起こっているのです。」

現在50万人以上の子供が自閉症に苦しみ、小児科医は毎年新たに4万人の症例を自閉症と診断している。この病気は1943年までは知られていなかった。その年に、1931年にチメロサールが初めて乳児のワクチンに加えられてから数ヶ月の内に生まれた11人の子供達の間に自閉症が発見され、診断された。

懐疑論者は、自閉症の増加はチメロサールで汚染されたワクチンによるものだと論議している。彼らは診断が改善した結果だという。新たな自閉症の症例の多くが、ある一世代の子供達の間に固まって発生している事を考えると、この説はどうみても疑わしいようである。「この自閉症の多発が本当にお粗末な診断の産物なら、25歳の自閉症患者はどこにいるんだ?」と水銀の毒性に関する世界的な権威であるボイド・ハーレイ博士は述べている。他の研究者達は、汚染された魚から歯の詰め物まで、アメリカ人はかつてないほど大量に蓄積した水銀の負荷を負っていると指摘している。そして、ワクチン内のチメロサールは大きな問題のひとつでしかないと示唆している。もちろんチメロサールの問題は、今までよりもずっと注意を引くに値する懸念事項はある。しかし、それに固執すると、ワクチンの水銀汚染が子供達が晒されている他の水銀汚染源を過小評価させてしまうという事実を見逃す事になる。

最も衝撃的なのは、多くの調査者がチメロサールに反する証拠を無視し、隠蔽した期間の長さである。当初から、水銀添加物に対する科学的症例は膨大なものだった。ワクチン内に発生する菌、細菌の増殖を止めるのに使われている保存剤には、強力な神経毒であるエチル水銀が含まれている。多くの研究でわかった事は、ワクチンを接種後、霊長類そのたの動物の脳に水銀が蓄積する傾向があることがわかった。特に成長している子供の脳には影響が大きい。1977年、ロシアの研究により、アメリカの子供達より低い濃度のエチル水銀にさらされた大人でも数年後には脳にダメージを受けたことがわかった。ロシアでは20年前にチメロサールを子供のワクチンに使用することを禁じており、デンマーク、オーストラリア、日本、英国、全北欧諸国がそれに続いた。

ケンタッキー大学の化学学部長のハーレイ氏は「チメロサールが安全であるという研究をすることすらできません。チメロサールはどうしようもなく有毒です。動物にチメロサールを注射すれば、脳が病気になります。生きている細胞に与えれば、その細胞は死にします。シャーレに入れれば、中の培養物も死滅します。これらのことを知る限り、子供に何のダメージも与えずにチメロサールを接種することは不可能です。」

内部資料で明らかになったことだが、チメロサールを最初に開発したイーライリリー社は、当初からこの製品が、動物にも人間にも害を与え、死亡することさえあることを知っていた。1930年、同社が末期髄膜炎の22人の患者に対し、チメロサールのテストをしたところ、接種後数週間以内に全員が死亡したが、リリー社はチメロサールが安全と断言して、事実を報告しようともしなかった。1935年、別のワクチン製造会社、ピットマン・ムーアの研究者がリリー社にこう警告した。チメロサールが安全であるというリリー社の主張は、”我々の研究結果とは一致しない”。ピットマン社の実験で、チメロサールベースのワクチンを接種した犬の半数が病気になり、同社の主要研究者は、この保存剤は犬用血清には”問題あり”と公表した。

その後 数十年間、チメロサールに不利な証拠は増え続けた。第二次世界大戦中、国防総省は兵士に接種するワクチンの保存剤としてチメロサールを使用する際、リリー社に対して「毒物」と表示するよう命じた。1967年、「応用環境微生物学」誌に、チメロサールを添加したワクチンを接種するとマウスが死亡するという研究が掲載された。4年後、リリー社は独自の研究でチメロサールは1ppmという低い濃度でも「組織細胞に対して毒性がある」という結論を出した。1ppmとは、標準的なワクチンに添加されているチメロサール濃度の100分の1の薄さである。それにもかかわらず、同社は、チメロサールを「非毒性物質」として積極的に使用を進め、局所消毒薬にも使用した。1977年、トロントの病院で、保存剤としてチメロサールが添加された消毒剤を臍帯に塗った10人の新生児が死亡するという事件があった。

1982年、食品医薬品局は、チメロサールを含む市販薬の販売禁止を提案し、1991年には動物用ワクチンに対する使用禁止を検討していた。しかし不幸なことに、同年、疾病対策センターは乳児にチメロサールを添加した有機水銀入りワクチンを接種する新しい定期予防接種を勧告した。生後24時間以内にB型肝炎ワクチンを接種し、生後2ヶ月でインフルエンザ菌B型ワクチンと三種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳)ワクチンを接種することを義務づけたのだ。

製薬業界は追加ワクチン接種が危険であるということを知っている。疾病対策センターが新しいワクチンを導入した年、メルク社のワクチンプログラムの考案者の一人、モーリス・ハイルマン博士は、6ヶ月の子供にワクチン接種した場合に被る水銀の悪影響は危険なものであると同社に警告した。製薬業界が非毒性の代替品について承知している事を留意しつつ、チメロサールは「特に幼児と子供に対し」使用を中止することを勧めた。「最良の手段は、保存剤を加えない実ワクチン施行に切り替えることだ」と付け加えた。

しかしながら、メルク社と他の製薬会社にとって、障害は金である。製薬業界にとっては、チメロサールを使えば、数回分のワクチンを充填したパッケージで製造できるが、何度も注射針が入ることで汚染されやすいので、よけいに保護する必要がある。大ビンにすると、小ビンで製造するよりコストが半減し、国際機関を通し、伝染病の危険のある貧困地域に安く配ることができる。この「コスト検討」に直面して、メルク社はハイルマンの警告を無視し、政府は子供たちにさらにチメロサール入りのワクチンを勧めたのである。1989年以前、アメリカの未就学児童は11回のワクチンを受けていた。ポリオ、三種混合ワクチン、はしか・耳下腺炎・風疹である。10年後、政府の方針のおかげで子供達は1年生になる前に22回の予防接種を受けるようになった。

予防接種の回数が増えるに従い、自閉症になる子供の率が激増した。1990年代には、4千万人の子供達がチメロサール入りのワクチンを接種され、脳の発達に最も大切な時期に前例のない程の水銀を投与された。チメロサールの危険性はよく立証されていたにもかかわらず、子供達が指定された予防接種を受けて蓄積していく水銀の投与量については誰もあえて集計していないようだった。FDA向けウィルス製品担当取締役であるペーター・パトリシアは1999年に疾病対策センターへのメールでこう尋ねた。「なぜ疾病対策センターと諮問機関は子供の予防接種計画を急速に広めているのにこうした計算をしなかったのですか?」

しかしその時点までに、ダメージは起こっていた。生後2ヶ月、子供の脳がまだ重要な発達段階にあるときに、子供たちは、計62.5mgのエチル水銀が含まれる、3回の予防接種を定期的に受ける。これはEPA(環境保護庁)が定める神経毒に関係するメチル水銀の1日の基準量の99倍になる。ワクチン産業は、エチル水銀は体内で分解され、排出されるのが早いから危険性はほとんど無いと主張しているが、国立衛生研究所が4月に発行したものをはじめ、いくつかの研究によると、実際、エチル水銀は発達段階にある脳にとってはより毒性が強く、メチル水銀より長く脳に留まるという。

子供の予防接種に責任のある関係者は、子供達を病気から守るために追加ワクチンの接種は必要であり、チメロサールは保存剤の不要な単回投与ビンを1つも買えない発展途上国では、不可欠であると主張する。疾病対策センターのワクチンのトップ顧問であるポール・オフィット博士は次のように述べた。「もしインフルエンザが世界的に流行したとしても…今から20年以内には確実に来るだろうが、というのも、必ずそうなっているから…2億8千万人に単回投与ビンで予防接種をするなんてことは絶対無理だ。そうなると複数投与ビンでなければならない。」

しかし公衆衛生局が善意を持っていても、追加ワクチンを支持する疾病対策センター顧問委員会のメンバーの多くは製薬業界と密接なつながりを持っている。委員長のサム・カーツ博士は、主要なワクチンメーカーの有給コンサルタントであり、はしかワクチンを開発したチームの一員であり、それを1963年に認可した。もう一人の委員会メンバーであるニール・ハルセイ博士はワクチン会社の研究者として働き、B型肝炎の研究に対してアボット研究所から謝礼金を受け取っている。

実際、ワクチンについて研究している科学者達の狭い仲間内では、利権の対立はよくあることである。バートン議員が言うところによれば、疾病対策センターは、「新しいワクチンについての推奨を行う知的諮問委員会の一員として働く科学者たちが、公平な監督をすることになっている製品や会社に利権をもっているにしても、その露骨な利権争いを日常茶飯事的に黙認している。下院政府改革委員会は、ロタウィルスワクチンのガイドラインを認可した疾病対策センターアドバイザー8人のうち4人が「異種ワクチンを開発している製薬会社と経済的なつながりを持っている」ことを発見した。

ワクチンの1つに関する特許を分有するオフィットは、もし自分が票を投じたことで製品が売れたのであれば、金が入ることになるだろうということを認めた。しかし彼は、疾病対策センターの認可において、科学者達が直接経済的な賭けを得るのであれば、判断の際に偏見が入るのではないかという私の示唆を否認した。「そういった矛盾は私にはない。」と彼は断言した。「私は単にその過程で知らされただけで、買収されたわけではない。私がその席についている時 心にあるのは、ただひとつ、この国の子供達が最も恩恵を受けるアドバイスをすることだけだ。医師や公衆衛生関係者が業界の言いなりになっていて、知っていながら子供たちに安全ではない決断を下しているというのは甚だ失礼だし、そんな風に事は進まないよ。」

他のワクチン研究者達や監督機関からも、私は同様の言質を得た。オフィットのように、彼らも自分たちは子供の健康に理解のある守護者であると思っており、製薬会社との”提携”に誇りを持ち、個人的な利益の誘惑には影響されず、反ワクチン運動で子供達の健康を脅かす、理性を欠いた活動家には頭を悩まされている。彼らは私のこうした問いかけには腹を立てている。「科学は、科学者に任せておくものだ」とオフィットは言う。

さらに、何人かの政府の役人は表立った利益の対立について危機感を募らせている。1999年、疾病対策センターへのEメールで、食品医薬品局のポール・パトリシアは、連邦の役人が乳児の追加ワクチンによってもたらされる危険性について徹底的に調べ損なったことを激しく非難した。「食品医薬品局と疾病対策センターと免疫政策団体が、これまでチメロサールについて任務を怠ってきたのかもしれないという見識から容易に抜け出す方法があるのかわからない。」とパトリシアは書き、取締官と製薬産業が密接な関係をもっているということは、子供のワクチンにチメロサール「使用を積極的に勧めることに関し、各種諮問機関への疑いをも引き起こすだろう。」と付け加えた。

もし連邦監督官や政府の科学者がチメロサールの潜在的危険性を何年にも渡って把握しそこなったというのであれば、シンプソンウッドでの秘密会議後の無知を誰も責めることはできないかもしれない。しかし自閉症や他の脳の損傷との関係を調べる研究を行うよりもむしろ、疾病対策センターは科学より政治に重きを置いた。疾病対策センターは、おもに納税者の費用で明らかにされた子供のワクチンに関するデータベースを民間の(非公式の)機関、”アメリカの健康保険計画”に委譲したことで、このデータベースはさらなる研究に使われる可能性は全くなくなった。また疾病対策センターは、国立科学アカデミーの一部門である医学研究所(医学会?)に対して、チメロサールと脳の障害の関連性を明らかにする研究を呈示するよう指示した。

疾病対策センターは「私達に、ワクチンは極めて安全だと言わせたい。」と全米科学アカデミー医学研究所の予防接種安全対策委員長、マリー・マコーミック博士は2001年1月に研究者仲間に語った。「私達は自閉症がチメロサールの副作用と言うつもりはない。」同委員会の主任、キャスリーン・ストラットンも、全米科学アカデミー医学研究所が「証拠不十分でチメロサールと自閉症の因果関係は否定も肯定もできない」という結論を出すだろうと予測していた。それが疾病対策センターのウォルトことウォルター・オレンスタイン博士の望む結論だと。彼はセンターの全米予防接種プログラムの責任者である。

予防接種の推進に尽くしてきた人々にとって、チメロサールの真実は、彼らがこれまで進めてきた全てを脅かす恐れのあるものだった。「竜の尻尾をつかまれたようなものだ」と別の委員会メンバー、マイケル・カバック博士は言う。「我々の発表がマイナスなものであればあるほど、人々は予防接種を受けなくなるだろう。そして結果がどうなるかわかっている。罠に捕らわれたようなものだ。どうやってこの罠から抜け出すか、それは告訴だ。」

公的にも、政府の役人はチメロサールを研究する第一の目標はワクチンに関する疑いを払拭することであることを明らかにした。「自閉症とチメロサールの関連性を排除するために、現行4つの研究が行われている。」当時、国立衛生研究所でワクチン研究の戦略プランを統括していたゴードン・ダグラス博士は、2001年5月のプリンストン大学での会合で断言した。「〔はしか〕ワクチンと増大する自閉症の危険性を結びつける主張をする研究の悪影響を取り消すために、我々は親達に安全性を保証するさらなる研究を行い、公表する必要がある。」ダグラスは以前、メルク社の予防接種の代表を務め、チメロサールの危険性に関する警告を無視した人物である。

昨年5月、医学研究所は最終報告を提出した。結論は、自閉症とワクチンのチメロサールには証明されるような関連性はないということだった。チメロサールの毒性を訴えた膨大な量の報告書よりもむしろ、アメリカに比べて、子供たちのチメロサール投与量がはるかに少ないヨーロッパの国々で、4つの極めて大きな損害を引き起こした伝染病の研究に基づいた報告を検討した。また、「小児科学」誌に発表されたヴェルシュトレーテン博士の新しい研究も引用されたが、そこでは、チメロサールと自閉症の関連性は弱められていた。新しい研究には、自閉症と診断されるには幼すぎる子供達が含まれていたり、自閉症の兆候を示していた子供が見逃されていたりした。医学研究所はこれ以上の研究を打ち切ると宣言し、研究を始めようという立場の学術団体には、これ以上の研究を行わないよう薦めた。

この報告に疾病対策センターは満足したが、誰も納得しなかった。フロリダ州の共和党の医師、デビッド・ウェルドン下院議員は、下院の政府改革委員会の一員として働いているが、医学研究所は「わずかばかりの研究に頼っており、しかもその研究は、「お粗末な企画」で「致命的な欠陥」があり、「入手可能な全ての科学的医学的研究」を示していない」と言って同研究所を攻撃した。「疾病対策センターの役員が、真実のための公正な調査には興味を示さないのは、ワクチンと自閉症の関係を誰が、自分自身にそんな決定を下すことを望むだろうか?」

議会と親達から圧力を受け、医学研究所は、ワクチン安全データリンク データ共有プログラムに関する絶え間ない懸念に対処するため、別の識者(パネリスト)を招集した。2月には、別の科学者から成る、新しいパネリストが、ヴェルシュトレーテン博士の研究における、このVSD(ワクチン安全データリンク)の使われ方を批判し、疾病対策センターに一般に公開されるワクチンのデータベースを作成するよう促した。

しかし、これまでそのデータベースに何とかアクセスできたのは、たった2人の科学者のみだった。米国遺伝学センター所長のマーク・ガイアー博士と息子のデイビッドは1年に及ぶ闘いの末、疾病対策センターから記録を入手した。議会のメンバーが疾病対策センターにデータを引き渡すよう圧力をかけた2002年の8月から、2人は6件の研究を検証し、チメロサールと子供の神経の損傷には強固な関連性があることを立証した。そのひとつは、1981年から85年に生まれた子供と1990年から96年に生まれた子供が摂取した水銀の蓄積量を比較したもので、自閉症とワクチンの間には「非常に重大な関係」があることが明らかになった。教育実績の別の研究では、ワクチン中のチメロサールの摂取量がより高い子供たちが自閉症と診断される率が3倍近くで、言語障害や知能発育不全も3倍以上多く見られた。もうひとつの近日出版される研究でも、最近、ほとんどのワクチンからチメロサールが除去された後に、自閉症の割合が減少しているということが示されている。

連邦政府が科学者をワクチンの研究から遠ざけようと働いたので、他の人たちが自閉症との関係の研究に足を踏み入れた。4月、UPIのレポーター、ダン・オルムステッドは、自身でより興味深い調査のひとつを始めた。彼はワクチンの水銀に全く晒された事の無い子供達—それは科学者たちが通常、実験における「対照」として使う集団だが—を探し、自分たちの子供に予防接種を受けさせる事を拒否した ペンシルバニア州ランチェスター郡のアーミッシュを徹底的に調べた。彼は、国内の自閉症の率を前提として、アーミッシュの中には130人の自閉症患者がいるはずであると計算したが、4人しか見つからなかった。1人は発電所から大量の水銀に晒されていたし、アーミッシュの共同体の外部からもらわれてきた子1人を含む他の3人はワクチンを受けていた。

州レベルでは多くの役人がやはりチメロサールの徹底的な再調査を行ってきた。医学研究所は危険性を取り繕うのに余念が無いが、アイオワの議会は手に入る全ての科学的、生物学的データを綿密にチェックしている。「3年間の調査の後、私は水銀と自閉症の発生率の増加の関係を示す、充分信頼のおける研究があることを確信するようになりました。」調査を監督した共和党議員のケン・ベーンストラは言う。「アイオワでは子供のワクチン計画により多くのワクチンが追加された直後の1990年代に、自閉症の700%増加が始まりましたが、これだけでも揺ぎ無い証拠です。」昨年、アイオワはワクチン中の水銀を禁止した最初の州となり、カリフォルニア州もこれに続いた。他の32州でも同様の禁止法が現在 検討されている。

しかし、先例に従って同様の措置を講じる代わりに、食品医薬品局は、引き続き 製造メーカーにチメロサールを、ステロイドやコラーゲン注入同様、多数の市販薬局で扱うことを許可した。さらに驚くべき事に、政府は発展途上国にチメロサール保存剤入りのワクチンをを輸出しており、それらの国では現在、自閉症の割合が急増している。中国では1999年にアメリカの製薬会社からチメロサールが導入される以前には自閉症は事実上 知られていなかったが、ニュース報道によれば、現在では180万人以上の自閉症患者がいると指摘されている。正確な数字は入手困難だが、現在、チメロサール入りのワクチンを使用しているインド、アルゼンチン、ニカラグアなどの発展途上国でも自閉性障害は急増しているようである。WHO、世界保健機構はチメロサールは安全と主張し続けているが、まだ「検討中」の神経障害と関連している可能性があるということは断言している。

私は、これが取り組まなくてはならない道徳的危機であると信じて、この調査に時間を費やしてきた。もし、証拠が示すように、我々の公共保健機関が知っていながら 製薬産業に全世代のアメリカの子供達に毒をもっていることを許すなら、その行為はほぼ間違いなくアメリカの医療史に残る最も大きなスキャンダルとなるだろう。「疾病対策センターは無能さとひどい怠慢の罪で有罪だ」と薬剤中の水銀の影響を懸念する非営利団体セーフマインズの副代表、マーク・ブラックシルは言う。「ワクチンの副作用による被害は甚大だ。アスベストより、タバコより、これまでのどんなものより大きい。」

この国が受けた被害ははかりしれない。そしてもし第三世界諸国が、アメリカの最も期待された対外援助主導が自分達の子供を毒していると思うようになったら—流行疾患を撲滅しようという国際的な努力にも計り知れない被害を与える事になる。このシナリオがどのようにアメリカの外敵に受け取られるかを予想するのは難しくない。チメロサールに関する科学技術を隠そうとする努力に参画している科学者や研究者—の多くは、誠実で理想主義的ですらあるが— は、発展途上国の子供達を流行病から守るという気高い目標を推進させようとしているのだと主張している。彼らはひどく見当違いな方向に行っている。彼らがチメロサールのことについて本当の事を言い損なったら、わが国(アメリカ)と世界一貧しい人々を悩ませるような手痛い仕返しが襲ってくるだろう。

注釈:この記事は初版にあったいくつかの不正確な箇所を訂正し、更新した。初版で報告したように、アメリカの未就学児童は1989年以前には3回しか予防接種を受けなかったが、この記事は、追加ワクチンを含めると全部で11回受けることを明記していなかった。またこの記事には、生後6ヶ月までに乳児がワクチンで接種するエチル水銀のレベルについても間違った記述があった。そのレベルは187回ではなくて、187マイクログラム-40%の量であり、米国環境保護庁によるメチル水銀の一日の摂取量の限度より多い。最後に、編集のミスにより、疾病対策センターにより認可されたロタウィルスワクチンの内容に間違いがあった。それはチメロサールを含んでいない。サロン・アンド・ローリングストーン誌はこの間違いをお詫びする。

この記事の初期の版では、医療研究所は、チメロサールと自閉症の関連性の証拠が見つけられなかった予防注射安全性審査委員会の研究を再調査するために、2回目の討議会を開催したと述べた。実は、医療研究所は、同研究所の初期の研究について批評家からあがった懸念も含め、ワクチン安全データリンク データ共有プログラムに関する継続的な懸念に対処するために第2回目の討議会を開催したのだった。しかし討議会は委員会の発見を再調査する責任を負わなかった。この記事はまた、不注意でジョン・クレメンツ博士の引用から1つの言葉を入れ替え、2つの文を省略した。また、サム・カーツ博士がメルク社のはしかワクチンの特許を持っているという記述も事実ではない。事実は、カーツ博士ははしかワクチンの開発のチームに参加し、ライセンス交付をもたらしたが、特許は保持していない。サロン・アンド・ローリングストーン誌はこの間違いをお詫びする。

訂正:この記事の発行後、サロン・アンド・ローリングストーン誌は生後6ヶ月までに全ての予防接種を受けた乳児が摂取するエチル水銀のレベルの間違いを訂正した。187マイクログラム?40%の量であり、187回ではない。この187マイクログラムというのは米国環境保護庁によるメチル水銀の一日の摂取量の限度より多い。訂正時、私達はこの比較自体に不備があったことに気がついたが、ジャーナリストとして全く別の数字に換えるよりも、正しい数値を掲載するほうがより適切であると判断した。

しかし、その初期の訂正以降、この記事に対する反応から、40%という数字は正確ではあるが誤解を招くものであることが明らかになった。40%というのは、生後6ヶ月の間に受けたワクチンから乳児が摂取した全水銀負荷量を測り、平均体重に基づいて1日の平均摂取量を計算し、国環境保護庁の定める1日の限界量と比較したものだ。しかし、乳児はワクチンを1日ごと平均して受けたのではなく、多数の予防接種をすることによって、たった1日で、大量の水銀を摂取したのだ。記事で述べているように、これらの1日で投与される摂取量は国環境保護庁の許容限度を99倍も超えている。このような誤解に基づき、またさらなる混乱を避けるため、この40%という数字を除き、記事を修正した。

Kennedy Report Sparks Controversy ケネディー・レポートは物議をかもす。

※2005年6月に米 ローリング・ストーン誌に掲載され、その後、多くのメディアに引用され記事。その後内容が一部加筆修正されたものを日本ホメオパシー医学協会にて翻訳し掲載。

発表者

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