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JPHMA10周年へ向けて 毛利子来(もうりたねき)氏より


小児科医の毛利子来さんから、当日は診療、講演等が重なっており、
残念ながら参加はできないとのことですが、「大会の成功を、陰ながら、声援しています。」と いうメッセージをいただきました。合わせて週刊金曜日に掲載された記事を皆さんにご紹介します。
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【週間金曜日掲載記事より】
-医療問題に技術面の解析を-  毛利子来

 いま騒がれている医療問題をめぐる議論で、気になってしょうがない事がある。 それは、医学の思想と医療の時術の面からの解析がほとんど欠けている事だ。

  そのために、提起される対策が、経済的・制度的といったハードな面にのみ偏って、十分な有効性を発揮できないでいるように思われる。
最も切実な救急医療でさえ、ハードな面の充実だけでは、カバーできにくい。いくら救急施設とスタッフを増やしても、それを上回る「救急患者」が殺到するにちがいない。なぜなら、どんなに軽症でも心配に駆られて、救急施設に駆けつけたがる人が多いからだ。

 そして、人々をそのように仕向けているのが、ほかならぬ医療の思想なのではないか。おおかたの医者は、常日頃から「病気はすべて怖い」という観念を植え付け続けている。それが救急医療をパンクさせる大きな原因になっていそうだ。

 もちろん怖い病気も急を要する病気もあるけれど、大半の病気は軽くひとりでにか普通の医療で治る。だからそうしたことを医者が人々に伝えていさえすれば、救急医療の困難はかなり緩和されるにちがいない。さらに医療保険の財政にも医療思想と医療技術は大きくかかわる。「病気はすべて医療で治す」という考えは医療費を必要以上に高騰させるからだ。

 もちろん、手厚い医療を加えなければ重症化する病気も少なくはない。そうした病気に対する医療は断じて削減するべきではない。けれど、今の医療は総じて過剰に走っている。効かない薬や副作用の強い薬が、マニュアルのように漫然と投与されていることが多い。

 たとえ有効な薬がある場合でも、それより先に、生活の仕方を指導することがもっと重視されてよい。小児科に多い感染症でいえば、病原体イコール病気ではなくて、心身の状態が発病の有無と軽重を左右する大きな要素になるからだ。なのに、やたら抗生物質とか抗ウイルス剤で病原体をたたくことが流行っているのはどうかと思う。

 そういえば、インフルエンザの対策にも疑問を感じざるをえない。ワクチンとタミフルを主力にするのは本末転倒。そんな疑問を払拭されていない薬物よりも、過酷な労働を禁止するといった社会措置の方がはるかに有効のはずだ。そのことは過去のインフルエンザの死者数が生活水準の向上で激減してきた事実からでも明らかである。

 いわゆるメタボにしても、医学上の詰めが足りないのに、過剰に問題視されている。しかも個人の生活に公的組織が権力的に干渉さえしている。
  そんな横暴は、医療の根本のあり方から、許されてはならないと思うことしきりだ。

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