ホメオパシーのレパートリーは、症状を当てはめてレメディーを選ぶためだけのものではありません。症状をどのように観察し、どの情報を手がかりとして処方につなげていくのか。その過程が、実際の症例を通して見えてきます。
オーストラリアで臨床を続けるジョージ・デミトリアディス博士が取り上げるのは、ヨーロッパ旅行中に突然、重い皮膚症状を発症した10歳の女の子の症例です。
激しい咳をした2週間後、右すねやふくらはぎ、口の周囲、腋の下などに水疱やびらんが広がりました。博士が注目したのは、診断名ではなく、実際に現れている皮膚の状態です。青みがかった水疱から始まったこと、潰瘍の底が盛り上がっていること、さらに大きな皮疹の周囲を小さな水疱が取り囲んでいることなど、特徴的な所見を一つひとつ拾い上げていきます。
そして、それらの特徴を「TBR2(ザ・ボーニンハウゼン・レパートリー第2版)」のルーブリックに落とし込み、どのレメディーが症状全体を最もよくカバーするのかを検討。さらに、ヘリングの『ガイディング・シンプトムズ』に記されたマテリア・メディカの記述とも照らし合わせながら、処方を絞り込んでいきます。
この症例で導き出されたのは「ラカシス」。その後の経過とともに、どのような観察が処方につながったのかを追っていくことで、TBR2を使った分析の実際を具体的に学ぶことができます。
レパートリーをどのように読み、症状の中から何を選び、最終的な処方へつなげるのか。デミトリアディス博士の臨床例を通して、ホメオパシーのケース分析について改めて考える機会となる講演です。

