大会レポート
この5年間、社会全体に広がった「打て打て」という同調圧力。その背景には何があったのでしょうか。
半世紀近くにわたり基礎医学と臨床医学の現場に携わり、1970年の大阪万博の頃から安全なワクチン研究に取り組んできた分子病態学の井上正康先生が、今回の学術大会で新型コロナウイルスとワクチンをめぐるさまざまな問題についてお話しします。
講演では、現在使われているワクチンをどのように捉えるべきなのかという問いから、130年前のロシア風邪にまでさかのぼるコロナウイルスの変異の歴史、さらに米政府の見解にも触れながら、ウイルスの起源についてゲノム解析の視点から解説します。
また、スパイクタンパクによる血管障害や、いわゆる「スパイク病」、ターボがん、免疫機能への影響についても、ACE2受容体の分布などを取り上げながら、その仕組みを医学的な観点から見ていきます。
一方で、ウイルスを完全になくそうとする「ゼロコロナ」という考え方についても、生命と免疫の仕組みから考察。人によって異なる免疫の状態や、一人ひとりの身体が持つ「動的な自己」という視点から、感染症とどう向き合うべきなのかを考えます。
さらに、アメリカのNIH(国立衛生研究所)をめぐる医療・栄養政策の動きなど、現在進んでいる世界の医療情勢にも触れます。
講演後半では、体内に残るスパイクタンパクや血栓へのアプローチとして、還元物質グルタチオンの働きなどにも触れながら、日常生活の中でできることを紹介。さらに、今後の食糧問題を見据えた持続可能な稲作の重要性についてもお話しします。
感染症やワクチンをめぐる問題を、目の前の情報だけで判断するのではなく、医学や免疫学の視点から改めて考えてみる。科学者として「まず疑ってみる」ことの大切さを含め、これからの医療や健康について考える機会となる講演です。


